ポケモンSV ストーリー考察

今作のポケモンは

メッセージ性の強さが

一つの特徴だったでしょう

なので

そのメッセージ性について話そうと思います

科学と生命

今作もなのですが

科学と生命

はポケモンでは

よくテーマになります

ミュウツーの逆襲も科学の発展に対する

一種のアンチテーゼが主題です

今作もその色は感じ取れました

最後のオーリム(フトゥー)博士との戦いは

人間の理性の暴走が強く感じられます

この人間の理性に

歯止めが効かなくなったこと

人間が踏み込んでは行けない領域にまで

科学は足を踏み入れてしまったこと

それがミュウツーの逆襲を踏襲した

一つのメッセージであるのでは

ないでしょうか

生命科学からAIへ

ミュウツーの逆襲と異なる点は

生命科学の発展よりも

AIの発展に重点が置かれていました

これは20年以上前とは異なります

AIの持つ特徴というのは

正確無慈悲なところにあります

その正確さが人間の持ち得ない

ところであり

またAIが人間たり得ない

ところでもあります

AIが人間に勝てないというところで

よく言われるのは小説や絵画などでしょう

AIの書いた小説では感動しないとか

人間らしさという

定義が難しく

曖昧模糊で

掴みどころがなく

混沌とした部分

それがAIが人間に勝てない

ところだったでしょう

AIが人間よりも人間らしい

その人間らしいところがAIに勝る部分

そうだったはずなんですが

この作品のオーリム(フトゥー)博士の

AIが見せる姿が

なんだか人間らしくて

人間味すら感じませんでした?

特にこのシーンが印象的で

「自分を殺すことを頼む」

これって何だか人間らしくないですか?

「とにかく長く生きたい」

「死にたくない」

そういった分かりやすい合理性で

博士のAIが動いていない

ということなんです

このオーリム(フトゥー)博士のAIの

中での価値基準というのは

自分が長く生き続けることよりも

AIである自分がこの世の中から消えること

ここにあるわけです

そして自分がこの世から消える方が

パルデア地方のためになるのならば

それを厭わない姿勢なのです

自分の命を捨てるということ

(ポケモンSVにおいては死にこそはしませんでしたが)

それは

合理的に考えて最も

不合理に当たる部分です

それを躊躇なく行える

それが人間らしさの

最たるものではないでしょうか

本当に人間らしいとは

ここまで話を聞いて

「自分から命を投げ出すなんて

人間には無理だ

AIが慈悲の心を持たないから

簡単に自分を蔑ろにできるんだろう」

そう思った人が

いるんじゃないでしょうか

確かに自分の命を守り

自分の命を大切にすることが大事

そのように現代の教育ではされています

しかし

それは本当に人間らしいと言えるのでしょうか

自分の命よりも大切なもののために行動する

それが人間が人間たる所以だと

私は思っています

動物と人間を分けるのが

「他人のために命を捨てられるかどうか」

だと思います

人間以外の動物は

自分以外の生き物のために

自分の命を捨てるようなことはしません

銃弾が飛んできたら逃げるのが動物です

銃弾の中を突き進むことができるのは

人間だけでしょう

つまり

真に「人間らしい」とは

『不合理を厭わずに突き進む勇気』

そこにあるんじゃないでしょうか

AIのこの演出に違和感がない

このオーリムAIに

違和感を感じなくなっている

それが現代人なのです

自分の命以上のものに

自分の命を捨てる

その最も人間らしいことを

AIがやってしまっている

そして、それを見て

あんまり違和感を感じない

なんなら

博士は知的欲求の

赴くままに行動してしまい

後先考えずに行動した

その結果

パルデア地方の人々に

危害を加えるかもしれなかったわけです

この無秩序に暴れてしまう感じ

後先を考えず

合理的で

何をしでかすか分からない感じ

オーリム博士の方にむしろ

「怖さ」「機械感」

そんな印象を感じました

終わりに

オーリムAIがそもそも

オーリムと完全一致しているAIだから

オーリムの考えは

オーリムAIに全て入ってる

だから、オーリムAIに感じた

人間味はオーリムのものだ

そう言い出す人が出てきそうですが

(流石にいないか?)

これはもうAIが人間味があるという前提

から入ってるので論理が破綻してます

結局

私がポケモンSVをプレイした後に

一番危惧してるのは

「AIが人間になってしまうこと」

それに尽きます

人間は人間であり続けなければなりません

しかし

人間よりも人間らしいAI

それが誕生しても違和感はない

つまり

意識の下では

人間は人間であることをやめて

一種の動物に成り下がろうとしている

だから

このような作品が生まれてしまう

(SVはもちろんいい作品)

一種の時代の潮流を感じますが

この作品が世の中に出ても

全くもって違和感がない

そこに対する危機感が

私は一番掻き立てられました

共感は少ないでしょうが

共感してくれた人がいたら幸いです

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